【転載】国立天文台・天文ニュース(225)
リンカーン研究所チームが、また新彗星を発見しました。同チームは、観測の主目的である地球接近天体(Near-Earth Objects;NEO)捜索で発見した天体から、その移動が異常であるいくつかをリストにして発表しています。アメリカ、カンサス州、ファーポイント天文台のハッグ(Hug,G.)は、その中に、見かけが彗星状の天体があることに気付きました。その報告に基づき、小惑星センターの依頼によって、何人かの観測者が確認観測をおこなった結果、軌道が逆行の放物線軌道に近いことがわかって、この天体は彗星であることがと確定しました。認識符号は C/1998 W3、通称はリニア彗星です。 現在は「かに座」にありますが、明るさは16等台に過ぎず、また近日点距離が4天文単位以上もあるので、特に明るくなることはありません。
国際天文学連合回報によるこの彗星の暫定放物線軌道要素と予測位置を、以下に示します。
近日点通過時刻 = 1999 Feb. 9.201 TT 近日点引数 = 23.226 昇交点黄経 = 124.163 (2000.0) 近日点距離 = 4.86339 AU 軌道傾斜角 = 130.222 日付 赤経(2000.0)赤緯 地心距離 日心距離 太陽離角 明るさ 1998 時 分 度 分 AU AU 度 等 Dec. 3 8 40.29 +31 24.1 4.255 4.892 125.4 16.0 8 8 35.69 +32 28.5 4.182 4.888 131.3 16.0 13 8 30.45 +33 34.6 4.116 4.885 137.2 16.0参照
1998年12月3日 国立天文台・広報普及室