【転載】国立天文台・天文ニュース(201)
現在、日本各地にたくさんのプラネタリウムが建設され、投影が行われて、天文知識の普及に大きな役割を果たしています。しかし、その解説は、肉声の場合も、プラネタリウム番組の場合も、ほとんど音声で行われています。この方式は、当然のことですが、聴覚に障害をもたれる方にとって十分ではありません。、内容を理解するためには、字幕を併用するなどの配慮がほしいところです。
今回、北九州市障害福祉ボランティア協会と北九州市立児童文化科学館が協力して、聴覚障害者の方にも理解していただけるよう、全国で初めて(転載者註) 、「字幕つきプラネタリウム」の投影を実施することになりました。投影は9月23日午前11時から、北九州児 童文化科学館で行います。詳細のお問い合わせは下記にお願いします。
805-0068 北九州市八幡東区桃園3丁目1番5号 北九州市立児童文化科学館 TEL 093-671-4566 FAX 093-671-4568 http://www.city.kitakyushu.jp/contest/zidoubunnka/index 2.html(転載者註)
一般番組を恒常的に字幕つきとし、特別の配慮なしに聴覚障害の方がプラネタリウムにお越しいただけるのが理想ですが、いまのところ準備に時間がかかることもあり、当分は、年に数回、特別番組として字幕つき投影をするということになりそうです。
天文学は健常者だけのものではありません。さまざまな障害をもつ方も、天文学を学び、天文知識をもつ権利があるはずです。しかし、それらの方々が現実に天文学に触れようとすると、そこには大きな壁が存在します。その壁を少しでも低くしようという努力が、最近になって、天文関係者からもやっと始められるようになりました。たとえば、慶応大学の加藤万里子(かとうまりこ)氏は、目の不自由な方も理解しやすいように工夫した図入りの天文学の本「100億年を翔ける宇宙-さわるカラーグラビア」を出版されました。この本には文章を音声で聞くことができるフロッピーディスクも付いています。国立天文台も天文台を紹介する30ページ余りの点字パンフレットを作り、希望者に配布しています。もちろんまだまだ不十分で、「すべての人に開かれた天文学を」の歩みは始まったばかりです。
国際地球回転観測事業(International Earth Rotation Service;IERS)は、1998年12月31日(世界時)の最後に正のうるう秒を挿入すると発表しました。これは日本時では1999年1月1日9時の直前で、このときの1秒刻みの時刻は、8時59分59秒、8時59分60秒、9時0分0秒、の順に流れます。この挿入によって協定世界時(UTC)と国際原子時(TAI)との差は、
UTC - TAI = -32s
になります。
参照 IERS Bulletin C16(July 17,1998)1998年9月10日 国立天文台・広報普及室