【転載】国立天文台・天文ニュース(196)
今年11月の「しし座流星群」では、たくさんの流れ星が見えるといわれます。この流星群の観測に、全国の高校生に参加してもらおうという計画が進められています。
この計画は「しし座流星群全国高校生同時観測会」と呼ばれ、日本天文学会、日本惑星科学会、天文教育普及研究会が共催、国立天文台、日本理科教育学会、日本プラネタリウム協会、その他多数の学会、協会などが後援する形でおこなわれます。参加資格は高校、高専のサークル、クラブであればよく、指導者のいる高校生のグループであればそれでもかまいません。
観測する内容は、11月17日から18日にかけての夜に、それぞれのグループが任意の場所で流星を観測し、10分ごとの流星数を報告するという比較的簡単なものです。地域によって流星群の流星出現数にどのくらい差があるかは、これまでにはっきり観測されたことがありません。仮に全国で観測が実施できたとすれば、その結果は非常に貴重なものです。また、天候によって観測できない場所ができるのは止むを得ないことですが、その場合でも、観測網が全国に展開されていれば、必ずどこかで観測できるという利点もあります。
観測に参加するには、参加の登録が必要です。登録は9月1日から10月31日の間に、実行委員会のホームページ上(http://www.leonids.net/)か、または事務局で受け付けます。登録が済みますと、「参加登録確認書」、「簡易観測マニュアル」、「観測報告用紙」が郵送されます。一方、観測結果は11月末日までに報告することになっています。全国の観測結果はホームページ上で公開され、参加したグループはその結果を自由に引用できます。また、実行委員会は観測結果を集約し、共催、後援団体の機関誌で発表する予定です。
いま、青少年の理科離れが大きく進んでいるという話があちこちで聞かれます。学校でも、自然科学系のクラブ活動が沈滞しているといわれます。しかし一方、低学年の子どもたちは、天文に関する興味、関心が非常に高いのも事実です。今年の「しし座流星群」に対して、日本は、めったにない絶好の観測条件に恵まれています。流星の観測は特別な設備も道具も要らず、肉眼で観測できるものです。この機会に「同時観測会」に参加し、普段は天文にあまり関心がない生徒でも気軽に観測できる環境を整え、現実の天文現象を各自の目で捕らえることができれば、流星群は、生徒に「活きた教材」として感動を呼び起こすものになるに違いありません。これを契機に自然科学への関心を高める生徒があれば、主催者として、それに越すよろこびはないでしょう。
実行委員会は、全国で、少なくとも100校程度は参加してほしいとの期待をしています。それだけでなく、今回を始めとして、毎年高校生が天文に関しての観測、研究を競い合う「天文甲子園」ともいうべきイベントに発展させることはできないかとも考えているのです。
なお「しし座流星群全国高校生同時観測会」の事務局はつぎ場所におかれています。
180-8633 東京都武蔵野市吉祥寺北町3-10-13 成蹊中学高等学校地学研究室 TEL : 0422-37-3828 FAX : 0422-37-3863 e-mail : leo98@leonids.net URL : http://www.leonids.net/
1998年8月13日 国立天文台・広報普及室