【転載】国立天文台・天文ニュース(183)

彗星発見者にエドガー・ウイルソン賞の制定


 新彗星発見者に対して贈られるエドガー・ウイルソン賞が制定されました。この賞は、アメリカ、ケンタッキー州、レキシントンのエドガー・ウイルソン(Edgar Wilson)氏の遺志によって定められたもので、新彗星を発見したアマチュアを対象に毎年贈られる国際的な賞です。初年度の賞金には約2万ドルが準備されているということです。

 賞の対象となる人は

(a)少なくとも、彗星発見に関してはアマチュアであること。
(b)個人的に所有する機材を使用して発見したこと

でなくてはなりません。発見の手段は、眼視、写真、CCDなど電子的手法などのいずれでも差し支えありません。受賞者に対し、人種、国籍などによる差別はまったくありません。ただし、他から何等かの情報をもらって発見に結び付いた場合は、受賞の対象とはなりません。

 この賞の対象となる彗星は、発見者の名が公式につけられた新彗星だけです。新彗星がいくつも発見され、それぞれの発見者が一人だけであるときには、賞金はそれぞれの彗星の発見者で平等に分割されます。また、同一彗星を何人かで独立に発見した場合には、その彗星に対する分を発見者間でさらに平等に分割します。なお、彗星発見者の決定は、国際電報中央局(Central Bureau for Astronomical Telegrams;CBAT)を通じてスミソニアン天体物理研究所(Smithsonian Astrophysical Observatory;SAO)が決めたものが最終的決定です。

 最初の年度は、1998年6月11日0時UT に始まり、1999年6月11日に終わる1年間で、それに続く7月に受賞者が発表されます。以後1年づつ、その繰り返しです。また、もっともたくさんの新彗星を発見した人には、特別表賞があるとのことです。一方、受賞の該当者がない年には、国際電報中央局の裁定で、彗星研究にもっとも貢献したアマチュアに賞が贈られます。

 このエドガー・ウイルソン賞は、小天体命名委員会(the Small Bodies Names Committee;SBNC)の助言のもとに、国際天文学連合(International Astronimical Union;IAU)、国際電報中央局の支援を通して、スミソニアン天体物理研究所が管理し、受賞者を発表します。

 このような賞が制定されたからというわけではありませんが、新彗星と疑わしい天体を発見したときは、どなたでも、国立天文台、あるいはその他適当な機関を通して、国際電報中央局へ連絡するようにしてください。そのうち突然、「エドガー・ウイルソン賞の受賞が決まった」という通知がくるかもしれません。

参照

1998年6月18日          国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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