【転載】国立天文台・天文ニュース(151)
富山県の青木昌勝(あおきまさかつ)さんが、またも超新星を発見しました。
今回の超新星は、いつもの口径43センチの反射望遠鏡を使って12月23日(世界時)におこなった6コマのCCD撮像から、「おおぐま座」の銀河 NGC3963 のそばに、16.5等の明るさで発見したものです。精密位置は、
赤経 | 11時 54分 59.98秒 | |
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赤緯 | +58度 29' 26.4" | (2000.0) |
この発見は、洲本市の中野主一(なかのしゅいち)氏を通じて国際天文学連合に報告され、発見された超新星には SN 1997ei の記号が与えられました。これで、青木さんが発見した超新星は、今年だけで5個、合計で9個に達しました。引き続く青木さんの発見のペースの速さに驚かされます。
なお、天文ニュース(150)で発見をお伝えした超新星 SN 1997eg は、カリフルニア大学のフィリペンコ(Filippenko,A.V.)がケックII望遠鏡でスペクトル観測をおこなった結果、特異型のタイプII超新星であることがわかりました。これは一般にタイブIInと分類され、水素のHアルファ線についで波長587.6ナノメートルの中性ヘリウムの線が強く、ヘリウムの豊富な星と見られます。この種の超新星から放出された物質は周辺の物質と強く作用するため、この超新星は、X線、あるいは電波領域でたいへん明るくなると予測されています。
参照天文ニュース(149)で、イータ・カリーナ星を取り上げました。その中で、「X線フラックスに85日の周期性があることを突き止めたのはローサット衛星の観測による」、ということを書きました。これは誤りで、データは「ロッシ・X線タイミング・エクスプローラー衛星(RXTE satellite)」の観測から得たものでした。Natureのコクランの論文の共著者の一人である石橋氏から直接にご指摘を受けました。お詫びして訂正いたします。
次回の天文ニュースの発行は1月8日の予定です。
1997年12月25日 国立天文台・広報普及室