【転載】国立天文台・天文ニュース(141)
"http://stardust.jpl.nasa.gov/"
にお名前をお送り頂くか、あるいは、The Planetary Society,65 N.Catalina Ave,Pasadena,CA 91106-2301
にお名前を郵送でお知らせください。期限は今年の11月30日までです。この探査計画はNASAのジェット推進研究所が進めているもので、宇宙探査機「スターダスト」を1999年2月に打ち上げ、5年後にビルト第2彗星(81P/Wild-2)の核から150キロメートルの距離にまで近付けて、彗星起源のダストを収集するほか、その他の星間粒子をも集める計画です。ダストはエアロゲルと呼ばれ、世界でもっとも低密度の固体といわれる、軽く、透明な絶縁体のシリカゲルの中に集められます。その後、「スターダスト」は2006年1月に地球の近くに戻り、採取したダストの入ったカプセルを投下、カプセルはパラシュートによってユタ州に着陸する予定になっています。
応募された名前は、電子エッチングによって指の爪くらいの大きさのシリコン・チップにすべて書き込まれ、「スターダスト」に積み込まれます。その文字の大きさは毛髪の10分の1くらいしかなく、電子顕微鏡を使わないと読むことはできません。そのチップは「スターダスト」と共に、7年間はるばると宇宙空間を旅することになります。
「スターダスト」計画は、NASAが推進している「迅速で、内容が優れ、安価である宇宙開発計画」のひとつで、1億5000万ドル以下の経費で実行されるものです。
ビルト第2彗星は1978年1月6日にスイス、ベルン大学のビルト(Wild,Paul)が発見した彗星で、約6.4年の周期をもつ周期彗星です。軌道解析の結果、この彗星は1974年に木星に接近したことで軌道が変わり、現在の短周期の軌道になったことがわかりました。したがって、それまでは太陽に接近することなく、遠く冷たい空間をさまよっていたわけで、約46億年前といわれる太陽系創生当時の原始的物質をそのまま保持していると考えられます。そのダストを採取して地球上の実験室で分析できれば、太陽系起源について測り知れないほどの情報をもたらすに違いありません。この探査機に、皆さんの名を載せてみませんか。
参照 NASA プレスリリース(Nov.10,1997)
1997年11月13日 国立天文台・広報普及室