【転載】国立天文台・天文ニュース(140)
キットピーク天文台のラーセン(Larsen,Jeff)は、11月3日、口径91センチのスペースウォツチ望遠鏡によって、「うお座」の端のところで16.6等の新彗星を発見しました。その後各地でこの彗星は確認され、C/1997 V1 の認識符号が与えられました。通称はラーセン彗星です。これまでの観測から求められた暫定放物線軌道要素と予報位置は、国際天文学連合回報によると以下の通りです。短周期彗星である可能性もまだ残っているそうです。明るくなって、もっと見やすくなる見込みはありません。
近日点通過時刻 = 1997 Feb. 1.11 TT | 近日点引数 = 60.16 |
昇交点黄経 = 227.80 (2000.0) | |
近日点距離 = 1.9165 AU | 軌道傾斜角 = 14.60 |
日付 | 赤経(2000.0)赤緯 | 地心距離 | 日心距離 | 太陽離角 | 明るさ | |
1997 | 時 分 | 度 分 | AU | AU | 度 | 等 |
Nov. 8 | 0 13.40 | +12 0.2 | 2.913 | 3.737 | 141.2 | 16.0 |
13 | 0 12.97 | +11 32.7 | 3.005 | 3.781 | 136.1 | 16.2 |
18 | 0 12.94 | +11 8.4 | 3.102 | 3.825 | 131.1 | 16.3 |
23 | 0 13.30 | +10 47.1 | 3.203 | 3.869 | 126.1 | 16.4 |
28 | 0 14.04 | +10 29.1 | 3.309 | 3.912 | 121.2 | 16.5 |
富山県の青木昌勝(あおきまさかつ)さんは、43センチ望遠鏡による11月2日のCCD撮像から、「しし座」の隅のところで15.0等の超新星を発見しました。これは NGC3810銀河の中心から西に43秒、北に29秒のところで、
赤経 11時 40分 55.90秒 赤緯 +11度 28分 45.7 秒 (2000.0)
の位置になります。これは今年に入ってから121個目の超新星で SN 1997 dq の符号で呼ばれることになりました。11月5日のチャリス(Challis,P.)らのスペクトル観測によりますと、極大光度前後のタイブ-Ib の超新星だそうです。
青木さんはこの8月20日にも「ヘルクレス座」に16.4等の超新星 SN 1997 dd を発見されていますので、これまでの発見総数は7個になり、日本人としての新記録になりました。
参照1997年11月6日 国立天文台・広報普及室