【転載】国立天文台・天文ニュース(116)
毎年流れ星を見ることができる定常流星群のなかでも、8月に見られるペルセウス座流星群は、流星数も多く、明るい流星もあって見栄えがする上に、季節が夏であるために防寒の準備もあまり要らず、観測しやすい流星群です。中でも、今年はさまざまの条件が非常に良いので、かなりたくさんの流星が出現すると予想されます。興味のある方は、この機会を逃さす、ぜひご覧になってください。
流星群を都合よく観測するには、つぎの条件が満たされる必要があります。
毎年観測できる流星群でも、これらの条件がすべて満たされることはなかなかありません。たとえば、月の条件ひとつをとっても、一般にいって、3年に一度しかいい条件は巡ってこないのです。
ところで、今年のペルセウス座流星群のピークは、8月13日、1時(日本時)頃と予想されます。ピークをはさんで数時間はかなりの流星出現が推測されますから、放射点が昇ってくる13日の0時頃から、薄明の始まる3時30分頃までが、もっともお勧めの観測時間帯になります。月は上弦を過ぎたところですが、23時30分前後に沈みますから、この時間の観測には影響しません。5等星まで見える空なら、この間、少なくとも、1時間当たり30から40個の流星は見ることができるはずです。晴れてさえいれば、明るい都市の空でも、毎時10個くらいは見えると思われます。流星群の出現予想は、日食の予報とは違ってしばしば外れることがあり、一般に、あまり当てにできません。しかし、ペルセウス座流星群はもっとも安定して毎年流星を出現させる流星群ですから、期待できると思われます。
「流星を見たいのだが、どこへ行けば見えるのか」、また「流星を見るにはどの方向を見ればいいのか」というのはたいへん多い質問です。流星を見るのに都合のよい特定の場所を指定することはできませんが、なるべく空の暗い、できることなら標高の高い場所がいいとだけ申し上げておきます。しかし、いま述べたように、都会でも流星が見えないことはありません。また、流星を見るのに有利な方向は特にありません。どこでも、見やすい向きを見てください。放射点の方向にたくさんの流星が出るとは限りません。建物などに邪魔されない、なるべく暗い方向を見るのが現実的でしょう。ただ、真上を見上げるよりは、多少地平線が見えるくらいの高さを向いた方がたくさんの流星が見えます。
1997年7月17日 国立天文台・広報普及室