【転載】国立天文台・天文ニュース (82)

日本人による相次ぐ超新星の発見


 山梨県、八ケ岳南麓天文台の串田麗樹(くしだれいき)さんは、1月14日、口径40センチの反射望遠鏡による観測のCCD画像から、「きりん座」の銀河 NGC2258 に、15.7等の超新星らしい天体を発見しました。この発見は洲本氏の中野主一(なかのしゅいち)氏によって国際天文学連合に報告されて超新星であることが確認され、SN 1997E の符号が付けられました。串田嘉男(くしだよしお)さんによるとこの超新星の位置は、
            赤経   6時 47分 38.10秒
            赤緯 +74度 29分 51.0 秒   (2000.0)
で、銀河中心から西に32秒、北に57秒離れたところです。その後1月16日に行われたホ イップル天文台の1.5メートル望遠鏡による観測から、これはほぼ極大期にあるタイプ Iaの超新星と見られています。

 続いて、富山市の青木昌勝(あおきまさかつ)さんは、口径43センチの反射望遠鏡による2月2日早朝観測のCCD画像から、「おとめ座」の銀河 NGC4691 に13.6等の超新星を発見しました。この発見も中野主一氏によって国際天文学連合に報告され、SN 1997X の符号が付けられました。これは今年になって24個目の超新星の発見です。串田嘉男さんによって、この超新星の位置は、

                     赤経 12時 48分 14.28秒
                     赤緯 -3度 19分 58.5 秒   (2000.0)
と測定されています。これは NGC4691 の中心から、およそ東に7.2秒、北に0.3秒のところです。2月4日のセロ・トロロ天文台の1.5メートル反射望遠鏡によるスペクトル観測によりますと、この超新星は多分タイプIcで、極大光度を少し過ぎたところと推定されるとのことです。

 串田麗樹さんの超新星発見はこれで6個目で日本人としては最多、青木さんの5個がこれに続きます。

参照  IAUC 6538(Jan.16,1997)
      IAUC 6552(Feb. 4,1997)

1997年2月6日         国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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