【転載】国立天文台・天文ニュース (25)
さらに驚くべきことは、3月26日深夜の国立天文台三鷹構内にある口径50cm反射望遠鏡による観測によって、百武彗星の中心核から約2600kmほど離れた場所に、核から分裂したと思われる破片らしき光点が存在するのを発見しました。4時間ほどの観測の間に、約200kmほど離れて動いていくのが確認され、核から秒速17mほどの相対速度で遠ざかっていることがわかりました。
このことから、3月25日4時頃(日本時刻)に百武彗星の核が分裂を起こしたものと思われます。26日にリリースされたアメリカの八ッブル宇宙望遠鏡の観測でも、この破片とは異なる2つの分裂破片が観測されており、フランスのピクデミディ天文台では、われわれの見いだしたものと同じ破片が26日10時(日本時刻)に観測されています。
破片の大きさは推定できていませんが、本体の明るさとの比較から、相当に小さなものと考えられます。今後、太陽に近づくにつれて同様の分裂が起こると予想されます。分裂が起きると、ガスや塵の放出が一時的に増加し、明るくなったり、尾が発達したりするので、期待されています。
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1996年3月29日 国立天文台・広報普及室