西村栄男さん、櫻井幸夫さん、いて座に新星を発見

著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

日本天文学会では、新星・超新星・彗星といった天体を発見された方を表彰しており、咋29日には2004年度の表彰式がありました。昨年新星を発見された、静岡県掛川市の西村栄男(にしむらひでお)さん、茨城県水戸市の櫻井幸夫(さくらいゆきお)さんも、表彰式に出席され、賞を受けられました。このおふた方は、表彰式の日の未明に、それぞれ新星を独立に発見され、報告されてから会場にいらっしゃっていたのです。その不断の努力には脱帽するのみです。

西村さんは、28.779日(世界時、以下同様)に撮影した写真から、また櫻井さんは28.796日に撮影したデジカメ画像から、新しい星を見いだしました。櫻井さん撮影の画像から、兵庫県洲本市の中野主一(なかのしゅいち)さんが測定された位置は、

赤経  18時16分59.04秒
赤緯 -25度56分38.8秒 (2000.0年分点)

で、いて座が持つ弓のなかにあたります。

新星は、西村さんの写真では8.7等で、櫻井さんの画像では9.1等で見えていました。明るさの違いは機材の差による部分が大きく、この間に増光しているのか減光しているのかはわかりません。櫻井さんが25日に撮影した画像では11.8等より明るい天体はこの位置になく、またチリで南天をモニターしているASAS-3システムでは、27.464日撮影の画像にも14等より明るい天体は写っていません。この2日に、たいへん急激な増光を示したことになります。

岡山県井原市の美星天文台では、29.8日にスペクトルを撮影し、この天体が典型的な新星であることがわかりました。今後のこの新星の動向が注目されます。

参考文献

2005年3月30日

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