【転載】VSOLJニュース(093)

Liller の天体、新星と確認される


著者 :加藤太一(京大理)
連絡先:tkato@kusastro.kyoto-u.ac.jp

 VSOLJ ニュース (092) に掲載された Liller の天体が新星と確認されました。また、この天体には正式名称 V4742 Sgr (いて座 V4742) が与えられました。2002年にいて座に発見された新星の2個目です。

 この天体の観測は報告直後から世界各地で行われました。まず 9月16.808日(UT)に、Christian Buil (フランス) が水素のHα線付近のスペクトル観測に成功し、ガスが高速に膨張する様子が捉えられています。さらに 16.700日に Berto Monard(南アフリカ) によって撮像されたCCD画像から、九州大学の山岡均氏は以下の精測位置を求めています。

  18h 02m 21s.864  (J2000.0)
  -25o 20' 32".22

 過去の写真乾板の調査の結果、この位置には星像は見られず、この天体が12等以上の増光をしたことがわかります。

 この天体が新星であることを確認するスペクトルは 17.50日(UT)、岡山の藤井貢氏によって撮られました。水素の強い輝線のほか、FeII型と呼ばれる新星に特徴的な鉄の輝線などが観測されています。スペクトルは以下で見ることができます。

http://www1.harenet.ne.jp/~aikow/v4742_sgr_20020917.gif

 新星の光度は9月18日現在 8.5等程度と報告されており、しばらくは小型望遠鏡でも見ることができるでしょう。

2002年 9月19日

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転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]