【転載】VSOLJニュース(082)

長谷田さんの天体、新星と確認される


著者 :加藤太一(京大理)
連絡先:tkato@kusastro.kyoto-u.ac.jp

 IAUC No. 7808によれば、VSOLJニュース(080)で速報された新星らしき天体は三重県鈴鹿市の中村祐二さんも、1月24.867日 (UT) の写真から 9.3等で独立発見されていました。さらに、発見前の写真にも写っていたことが関勉さん(1月19.854日UT 8.9等)、西村栄男さん(21.854日UT 8.5等、24.843UT 9.0等) から報告されています。

 天体のスペクトル観測はアメリカの Doug West によって、発見が報じられた直後に行われました(vsnet-discovery-nova 29)。それによると水素の輝線と考えられる輝線が検出され、この天体が古典的な新星である可能性が高まりました。シドニー大学の Alon Retter他は同日3.9m AAT望遠鏡を用いて詳細なスペクトルを撮影し、この天体が確かに減光初期の新星であることを確認報告しました(vsnet-discovery-nova 35)。

 また埼玉県の門田氏は CCD画像から新星の位置を以下のように測定しています。

  17h 37m 34s.36 (J2000.0)
  -16o 23' 18".4

 最初の報告の位置とわずかに違いますのでご注意ください。爆発前の天体は20等より暗いものと考えられます(vsnet-alert 7110)。

 発見前からすでに明るかったことやスペクトルの特徴から、この新星はあまり急速に減光しない種類の新星と思われます。明け方の空ですが、まだしばらくの間小型望遠鏡で観測可能と思われます。観測用画像や、上記画像・スペクトルは以下のページからアクセスできます。

http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/vsnet/Novae/hadv105.html

2002年 1月29日

この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、VSOLJの速報メーリングリストにご加入いただくと便利です(お申し込みは vsolj-adm@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp まで)。
なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]