【転載】VSOLJニュース(023)

NGC6951に出現した超新星1999el


著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

おとめ座銀河団の距離以内に超新星が出現するのは、年に1、2回くらいなものです。Ia型超新星なら12等級台もしくはそれより明るくなり、20cmクラスの望遠鏡で楽に見えるものになります。そのような銀河のひとつ、NGC 6951に、超新星が発見され、超新星1999elと名付けられました。

IAUC 7288によると、10月20.45日(世界時)に、北京天文台の超新星捜索チームが、NGC 6951という、りゅう座とはくちょう座の境目あたりにある銀河に、超新星を発見しました。発見時には15.4等だったものが1日後には15.0等と明るくなっており、増光中と思われます。発見の前日には18等以下で、爆発後それほど経っていないもののようです。

超新星の位置は赤経20時37分17.83秒、赤緯+66度06分11.5秒(2000年分点)で、銀河の中心核から東に21.8秒、南に8.4秒ほどのところにあたります。発見前の画像を見ると、この位置のごく近くに手前の星が2つあります。それぞれ、銀河の中心核から東23.9秒南8.4秒(明るいほう)と東19.4秒南8.8秒(暗いほう)のところにあり、超新星はこの2つの星のちょうど中間あたりにあることになります。これ以外にも、母銀河の周りには、手前の星がたくさん見られます。天の川に近いためですが、見誤らないように気をつける必要があります。

母銀河は、中央部の棒構造があるかないかはっきりしない渦巻型(SABbc)で、超新星の出現位置は、円盤部の一番内側に重なっています。銀河の中央部は東西にやや伸びており、そのちょっと南側にあたります。

超新星のスペクトルから、この超新星はごく初期のIIn型と報告されています。IInとは、水素の線が含まれているが、典型的なものに比べて線の幅が狭い、つまり膨張速度が小さいものを指します。IIn型の超新星は、vsolj-news 015でご紹介したように、Ia型と同じ程明るいものから、その200倍以上暗いものまで、非常に幅があります。今回の超新星1999elがどのようなものか、今後の測光・分光観測が非常に重要です。

1999年10月24日

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転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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