【転載】VSOLJニュース(021)

相互作用銀河NGC7714に出現した超新星1999dn


著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

 中心領域が明るい活動銀河や、銀河同士が重力的に影響を及ぼしあっているような相互作用銀河では、星が大量に生まれているため、寿命の短い大質量星起源の超新星(重力崩壊型超新星)が普通の銀河よりたくさん出現すると期待されます。超新星を捜索するのにも、これらの銀河を捜索対象とすると発見の確率が高くなることでしょう。多くの捜索者がこのような銀河に注目しています。

 北京天文台の超新星探索チームが発見した超新星1999dnも、相互作用銀河NGC 7714に出現したものです。この銀河は、2分角東にある銀河NGC 7715の影響で、もともと棒渦巻型と思われる形がかなり崩れています。ぱっと見には、明るい棒状の領域が北西から南東に伸び、それを包むように北東側に円弧があり、中央部から南西側に短く腕が出ているという感じです。超新星は、この棒状の領域の南東側に出現しています。位置は赤経23時36分14.70秒、赤緯+2度09分08.8秒(2000年分点)で、銀河の中央から10秒東、9秒南といったところです。

 超新星と見間違えそうな光点が2つほどあります。ひとつは、南西の腕にあるもの(18等級程度)で、銀河中心から10秒西、16秒南あたりにあります。母銀河のH II領域である可能性が高いでしょう。もうひとつは、やはり南西側にある14等級程度の星で、中心からは37秒西、40秒南になります。いずれも超新星とは中心からの方角が違います。

 超新星が発見されたのは8月19.76日(世界時)で、その時の明るさは16等級ほどだったと報告されています。母銀河の後退速度から見積もると、重力崩壊型の超新星ならこれよりそうそう明るくはならない可能性が高いのですが、核爆発型(Ia型)の超新星ならば14等級台半ばまで明るくなるかもしれません。スペクトル観測による型決定ともども、今後の光度測定が重要になります。

1999年8月22日

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転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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