【転載】VSOLJニュース(019)

NGC 5468に出現した超新星1999cp


著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

VSOLJニュース(015)で紹介した超新星1999by、同じく(018)で紹介した超新星1999clに続いて、明るくなりそうな超新星が発見されました。Lick天文台の自動撮像望遠鏡KAITによって6月18.2日(世界時)に発見されたこの超新星は、1999cpと命名され、

  • IAUC 7205
  • で報告されています。発見時には18.2等だったこの超新星は、翌日の確認観測時には17.2等と明るくなっており、なお増光中と考えられます。

    超新星が出現した銀河は、おとめ座の東側にあるNGC 5468という渦巻銀河(Scd型)で、円盤が正面を向いて渦状腕が見やすい銀河です。超新星の位置は、発見者の測定では赤経14時6分31.3秒、赤緯-5度26分49秒(2000年分点)で、銀河の中心から西に52秒、北に23秒ほどのところにあります。今後、位置の精測が行なわれるものと思われます。銀河の中心からの離角が超新星と同じくらいの星が銀河の北、南、東の方向にあり、どれが超新星かの確認には注意が必要です。発見画像が http://astro.berkeley.edu/~bait/1999/sn99cp.html(転載者註) で公開されているので、チェックに役立つでしょう。

    6月19.2日にはスペクトルが撮影され、この超新星は爆発後間もないIa型であることが判明しています(IAUC 7206)。銀河の後退速度から距離が見積もられ、典型的なIa型超新星であれば今月末にかけて14等台まで明るくなると期待されています。増光から減光していく様子を継続的に観測するチャンスですので、今後に注目したいところです。

    1999年6月22日

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    転載者註 原文ではastro.barkeley.eduとなっていたが、astro.berkeley.eduが正しいらしい。

    転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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