【転載】VSOLJニュース(015)

超新星1999by


著者 :山岡 均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

昨日出されたIAUC 7156によると、距離10Mpc(転載者註:1999年5月5日訂正)とかなり近い銀河であるNGC2841に超新星が発見されました。1999byと命名されたこの超新星は、現在どんどん明るくなりつつあるもので、今後注意が必要です。

この超新星が発見されたのは4月30日(世界時)のことで、発見者はイギリスのアマチュアRon Arbour氏と、Lick天文台の自動撮像望遠鏡(KAIT)による超新星捜索チームです。発見前画像の明るさを合わせると、これまでの報告では、

  日時    CCD等級
4/25.199  >19.3
4/28.878   16.3
4/30.199   15.7
4/30.874   15.1
5/01.199   15.0
5/02.549   14.03

と急速に明るくなってきています。

超新星の位置は、Lick天文台チームの測定では赤経9時21分52.18秒、赤緯+51度00分06.6秒(2000年分点)で、銀河の中心からおよそ西へ100秒、北へ91秒いったあたりです。超新星の12秒西、30秒北には、11等ほどの手前の星があり、また超新星の58秒東、8秒北には14等ほどの星があります。銀河は、おおぐま座のθ星からι星に向かって1/4ほど行ったところにあります。日本では現在、夕方の空高くに見えることになります。

この銀河には、これまで3つの超新星が発見されてきましたが、最も明るいもので14等ほどでした。しかしこの銀河の距離から推定すると、もし今回の超新星が典的型なIa型超新星で、さらに星間物質の吸収を受けていないならば、11.5等ほどまで明るくなることが期待されます。今後の動向が注目されます。

この超新星の情報は、vsnetのWebページ(随時更新)
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/vsnet/SNe/sn1999by.html などで御覧になれます。

1999年5月3日

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転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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