【転載】国立天文台・天文ニュース(675)

『NPO 小さな天文学者の会』始動


 「心のアクセサリーに宇宙をあしらってみませんか?」そんな素敵なキャッチフレーズを掲げて、山形に特定非営利活動法人(NPO)小さな天文学者の会が誕生しました。

 この会は、もともと1998年に設立。当時、山形で開催された日本天文学会秋季年会がきっかけとなり、地元の天文好きと山形大学の先生や学生たちが集まって活動を始めました。その後、根強い地元の支援を集め、今年度からNPO法人として活動することになったものです。活動の中心は、なんといっても多くの人に宇宙を見て、感じて、楽しんでもらうこと。これまで行ってきた体験学習会や講演会に加え、これからは毎週土曜に山形大学小白川キャンパスの理学部屋上にある口径15センチメートル屈折望遠鏡を用いて、一般向けに観望会を始めようとしています。ライセンスを持つ星空案内人が、親切に説明するガイドツアーを実施する方針です。会では、この天体望遠鏡を「やまがた天文台」と命名し、活動の拠点としていく予定です。

 この会の設立を担ったのは、ブラックホールやパルサーの研究で知られる山形大学理学部の柴田晋平(しばたしんぺい)教授。柴田さんは「やまがた天文台に多くの人が足を運び、実際に天体望遠鏡で天体を眺めて、宇宙の魅力を体感してほしい。そして、そういった活動を通じて、人と人との交流を楽しめるような事業にしていきたい」と述べています。

 天文台そのものの運営・活動をNPO法人が行っているものとしては、熊本県城南町にある熊本県民天文台など、すでにいくつか先行する例があります。また大学の研究・教育用の天体望遠鏡を、大学が主体となって開放する例も、愛知教育大などいくつかの大学で試みられてきていました。しかしながら、このように大学の天体望遠鏡を、大学関係者と市民とが一体になったNPO法人として運営する例は、全国でも初めてです。

 観望会の初回は、2003年10月4日。まだ南の空に火星が明るく輝いている季節です。山形の夜空に輝く火星の神秘に、多くの小さな天文学者たちの目も、きらきらと輝くに違いありません。

参照

2003年10月1日         国立天文台・広報普及室


転載:ふくはらなおひと(福原直人)

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