【転載】国立天文台・天文ニュース(417)

ニア・シューメーカー、小惑星エロスに着陸


 昨年2月以来小惑星(433)エロスを周回してその観測を続けていた小惑星探査機 ニア・シューメーカー(Near Earth Asteroid Rendezvous;NEAR-Shoemaker)は、 観測の最後を飾る作業としてエロスへ軟着陸を試み、2001年2月12日20時2分10秒 (世界時)、無事に着陸に成功しました。小惑星に探査機が着陸したのは宇宙観測 史上初めてのことです。着陸後も通信は続けられています。

 探査機ニア・シューメーカーは、エロスを観測する目的で5年前の1996年2月に 打ち上げられました。途中で97年6月に小惑星(253)マチルドを1200キロメートル の距離から接近観測し、その後1999年2月に目的のエロスに接近しました。しか しこのときはエンジンの点火に失敗し、エロスを通り過ぎてしまいました。しか し、1年後の2000年2月再びエロスに接近して、今度は減速に成功、バレンタイン ・デイの14日にうまくその周回軌道に入りました。その後の観測で、16万枚以上 のエロスの画像を地球に送ってきています。この段階になって、探査機をコント ロールする燃料が残り少なくなったため、最後に、始めは予定されていなかった エロスへの軟着陸を試みることになったのです。

 2月12日13時31分(世界時)、高度25キロメートルのところで周回軌道を離脱、 その後4回の減速操作をおこない、最終的に秒速1.9メートルで、ニア・シューメー カーは、エロス上のある窪地のすぐ外側への歴史的な着陸に成功しました。飛行 中の最後の画像は高度120メートルから撮影したもので、エロス表面の6メートル 四方が撮影されています。史上初めての小惑星への着陸はこうして成し遂げられ たのでした。

 エロスは1898年に発見された小惑星です。長半径が1.458天文単位、1.76年の 周期で太陽の回りを公転しています。1931年には地球に2300万キロメートルに接 近し、その機会に、太陽系の大きさを決める目的で観測されたこともありました。 長軸33キロメートル、短軸13キロメートルのピーナツのような細長い形をして、 5.27日の周期で自転しています。その表面重力は場所によって異なりますが、ざっ と地球の500分の1から1000分の1で、脱出速度は毎秒30メートル程度です。エロ スの上で速球投手がボールを投げたとすると、そのボールはエロスから離れて太 陽系空間へ飛び出してしまうことでしょう。

参照

2001年2月15日 国立天文台・広報普及室


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転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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