【転載】国立天文台・天文ニュース(377)

新ヘイドン・プラネタリウム


 ニューヨークのアメリカ自然史博物館(The American Museum of Natural History)は、1930年代に建設されたこれまでのヘイドン・プラネタリウムを取り壊し、2億ドルをかけてまったく新しいプラネタリウムを建設しました。このプラネタリウムを含む「地球と宇宙のためのローズセンター(the Rose Center for Earth and Space)」はニューヨークの目抜き通りにあり、ニューヨーカーの人気を集めています。

 まずびっくりさせられるのは、その建築のデザインです。通常のプラネタリウムは皆さんもご存じのように、お椀を伏せた形の半球形です・しかし、この新ヘイドン・ブラネタリウムは完全な球なの です。直径約26メートル、重さ2000トンの球は、化学実験で球形フラスコを支えるような形で輪の上に載せられ、三本の支柱で支えられています。球の上半分は422座席のプラネタリウムになり、下半分は3分間のビッグ・バンのシミュレーション・ショウを実体験する部屋になっています。それだけでなく、この球体は、立方体の壁面で囲まれ、側面の隣り合う2面が透明なガラス張りになっています。し たがって、外部からプラネタリウムの球を直接に見ることができます。このユニークな幾何学的構造は、ワシントン記念碑以来の記念建築物になるであろうと噂されています。

 球体の下方の部分は宇宙、銀河、恒星、惑星などの展示室になっていて、以前の15.5トンのウィラメット隕石もここに展示されています。周囲の130メートル余りのスロープには130億年の宇宙の歴史が、その天体の写真とともに時間を追って示されています。

 プラネタリウムの投影機はツァイス製のもので、個々の星をファイバー・スコープで投影するため、非常に見事な点像で、双眼鏡を使うと、アンドロメダ銀河など82個の微光天体も見えるということです。しかし、実際に星を投影する時間は短く、40分のスペース・ショウの投影に主点が置かれているように思われます。現在は、宇宙を旅行するという設定のショウで、最後にブラックホールを通り抜けて地球に帰るところでは、低周波の音響で座席を振動させるというおまけまでついています。なお、入場料は大人19ドル、シニア14ドル、12歳以下の子供が11.5ドルだそうです。

 この新しいプラネタリウムにこれからどのくらい観客が入るかわかりませんが、日本では、古い歴史をもつ五島プラネタリウムが半年後に閉館するという話です。比較すると、何か悲しい気がしてなりません。

参照

2000年9月14日 国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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