【転載】国立天文台・天文ニュース(313)

しし座流星群、月面でも発光か


 この11月18日、しし座流星群がヨーロッパを中心とした地域で大きな活動を見せたことは、皆さんご存知でしょう。この流星物質が月に衝突したためと思われる発光が観測されています。

 アメリカ、ジョンズ・ホプキンス大学のダンハム(Dunham, D.W.)の報告によりますと、ヒューストンのカドニク(Cudnik, B.)が口径36センチの望遠鏡で観測中、11月18日4時46分15.2秒(世界時)に、月の暗い縁から1.7分角離れたところで、3等の明るさの発光を観測したなど、3時台から5時台にかけて、3人によって、明るさが3等から7等にわたる5回の瞬時の発光が、月面の暗い部分で観測されています。これらはビデオテープにも記録されていて、発光の事実は間違いありません。観測された時間帯から考えて、これはおそらく、しし座流星群に属する流星物質が月面に衝突した際の発光と推定されます。

 日本でも、電気通信大学の柳沢正久(やなぎさわまさひさ)氏からは、同大学でおこなった同様の観測の報告がありました。そこでは、11月18日11時から14時台(世界時)にかけて、月面で、4等級の発光が3回観測されています。この発光も2台のビデオで同時にモニターされていますから、確実なものです。

 月面の暗い部分で発光が報告されたのは、これが初めてではありません。過去には月面での火山噴火といわれたこともあり、近頃ですと、隕石の衝突による発光などと説明されています。ただ1回、1ヶ所だけからの報告ですと、たとえば、たまたま月面を横切った人工衛星の発光であるといったように、真に月面の現象であったかどうかに疑問が残ります。しかし、このように多数の発光が短期間に集中して観測されると、これは確かに月面での現象で、前記のように、しし座流星群との関連を深く示唆すると考えてよいように思われます。流星物質が月面に衝突して発光する際のメカニズムがはっきりわかっているのではありませんが、概算では、報告された程度の明るさで観測されることはあり得ると考えられます。

参照

1999年12月9日 国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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