【転載】国立天文台・天文ニュース(217)

新彗星 P/1998 U4(Spahr)と C/1998 U5(LINEAR)


P/1998 U4(Spahr)

 アリゾナ大学のスパー(Spahr,Timothy B.)は10月27日、口径41センチのシュミット望遠鏡によるCCD撮像で、「エリダヌス座」に17.2等の新彗星を発見しました。その後の追跡観測によって、この彗星は13.5年の周期をもつ周期彗星であることがわかり、認識符号は P/1998 U4 となりました。通称はスパー彗星です。近日点距離が4天文単位近くもあり、あまり明るくなることはなさそうです。国際天文学連合回報による軌道要素と予測位置はつぎの通りです。

      近日点通過時刻 = 1999 Mar.28.753 TT  近日点引数 = 253.680
   離 心 率     = 0.30575            昇交点黄経 = 183.978  (2000.0)
   近日点距離    = 3.93034 AU          軌道傾斜角 =  32.605
   長 半 径    = 5.66127 AU          周  期   =  13.47年

  日付     赤経(2000.0)赤緯   地心距離   日心距離   太陽離角   明るさ
    1998   時   分   度   分        AU         AU         度       等
    Nov. 8   4  3.67  -13 26.7    3.133      3.987      145.2     16.5
        13   4  1.12  -14  0.7    3.125      3.984      145.9     16.5
        18   3 58.43  -14 30.4    3.123      3.980      145.8     16.5
        23   3 55.66  -14 55.4    3.128      3.976      144.8     16.5
        28   3 52.90  -15 15.4    3.139      3.973      143.1     16.5
参照

C/1998 U5(LINEAR)

 リンカーン研究所チームは、口径1メートルの反射望遠鏡で地球接近小天体の捜索観測中、10月30日に「ふたご座」で観測した14等の天体が、彗星であることに気付きました。この彗星には C/1998 U5 の認識符号が与えら、通称はリニア彗星となりました。MPEC による暫定放物線軌道とそれによる予測位置は、以下に示すとおりです。11月中旬には、地球に0.44天文単位までに接近し、比較的に明るい10等級台の明るさになると思われます。

   近日点通過時刻 = 1998 Dec.21.7737 TT  近日点引数 =  51.4478
                                    昇交点黄経 =  66.6606  (2000.0)
   近日点距離     = 1.231920 AU          軌道傾斜角 = 131.9990

  日付     赤経(2000.0)赤緯   地心距離   日心距離   太陽離角   明るさ
  1998   時  分    度   分        AU         AU         度       等
    Nov. 8   5 54.44  +44 45.0    0.528      1.403      132.5     11.1
        13   4 20.30  +56 21.9    0.456      1.368      139.4     10.7
        18   1 30.10  +60  1.8    0.447      1.337      133.6     10.5
        23  23 19.85  +51 38.9    0.505      1.309      119.1     10.7
        28  22 20.35  +41 42.5    0.608      1.285      105.0     11.0
参照

1998年11月5日        国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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